現役日本語教師のみなさん、将来日本語教師を目指されているみなさん、こんにちは。
現役日本語教師(日本語教育能力試験合格、420時間修了)兼ライターの池田です。
私はこれまで、中国人、韓国人、タイ人、ベトナム人、インドネシア人、フィリピン人、スリランカ人、バングラディシュ人、ネパール人などアジア人材を中心に4000名以上指導してきました。
今回は「日本語教師の需要・国内外の就職先」について取り上げていきます。
日本語教師の需要は本当にあるのか?
日本語教師の国内外の就職先は?
このような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では下記について解説していきます。
- 日本語教師の需要はあるのか否か?
- 日本語教師の国内外の就職先はあるのか否か?
- 信頼される日本語教師になるためには何をすればいいのか?
また、本記事は以下のような読者を想定しております。
- 常勤・非常勤としてお勤めされている現役日本語教師の先生
- 海外で日本語教師として活躍されている先生
- 日本語教師としてこれからデビューを控えている先生
- 日本語教育学主専攻・副専攻の学生さん
昨今の日本語教育業界の状況、国内外の日本語教師の雇用状況を知りたい方はご一読ください。
日本語教師の需要はあるのか?
まずは日本語教師の需要についてお話していきます。
結論ですが、日本語教師は国内外問わず需要はあります。
下記は、令和4年12月時点での文化庁国語課の参考資料で、データ上には「日本語学習者、日本語教育実施機関数が増加傾向にある一方で、日本語教師数は緩やかに増加」との記載があります。
日本語教師 国内での需要
日本語教師の国内での需要はどうでしょうか。
少子化に伴い、国内の人口が減少することは誰の目にも明らかです。
国内の経済を盛り上げるための一手として海外から外国人材を誘致する必要があります。
そして、高度な知識や技能を持つ外国人材を受け入れ、彼らを適切に評価することで、日本経済の生産性が上がっていくことが大いに期待できるでしょう。
日本国内で暮らす外国人は下記のような人々で、彼らが日本にいる限り、日本語教師の需要がなくなることはまずありません。
- 留学生
- 技能実習生
- 日本企業に勤める会社員
- 外国人児童や生徒
順番に解説していきます。
留学生に指導したいなら?
日本で暮らす外国人の中で圧倒的に多いのが留学生です。
彼らは母国で日本語を学んだ後、日本の大学や大学院、短期大学、専門学校に進学するという目的を持って、国費ないしは私費で日本に留学します。
進学を控える外国人に日本語を指導するのが日本語学校です。
多くの日本国内の大学や専門学校や短大ではN2取得を入学条件としている所が多く、大学院であればN1取得を推奨する所も多いです。
よって、必要最低限の日本語を習得したいと願う進学希望者の多くは日本語学校へ通います。
日本国内であれば、日本語学校の求人を頻繁に見かけます。
常勤講師、非常勤教師を問わず、日本全国広く募集がかかっているので、日本語教師として日本語学校で働くというのが選択肢の一つです。
また、海外で最も多い求人も日本語学校です。
海外で日本語教師として働きたいのであれば、日本語教師求人サイトで探すことをおすすめします。
国内の日本語学校の採用状況は常勤講師2割程度、非常勤講師8割程度です
技能実習生向けに指導したいなら?
技能実習生は、外国人技能実習制度を利用して働く人々たちを指します。
農業、漁業、建設業、食品製造業、繊維関連業、金属関連業など、83職種151作業に分かれ、受け入れ可能期間は最長で5年です。
技能実習生が就業する上での最終目的は母国での就業です。
単に日本で働くだけでなく、母国で社会貢献することが目的ですから、技能実習生は真剣に技術習得に励みます。
また、技能実習生は会社で日本語指導を受けているところが多いです。
技能実習生のためのオンライン日本語指導を行ったり、会社のほうで日本語教師を雇っているところもあります。
技能実習生向けに指導できる日本語教師を探している企業もあるので、気になる方は「日本語教師 技能実習生 募集」などと入力し、求人を探すことをおすすめします。
日本語学校ほどではありませんが、技能実習生に指導できる日本語教師の求人もあります
企業に勤める会社員に指導したいなら?
日本企業に勤める会社員は、東京、神奈川、大阪、名古屋などの主要都市を中心に働いています。
日本国内の企業の中でも英語が公用語になっている企業は別として、日本国内で働く会社員の多くが日本語を流暢に話すことができます。
入社条件に日本語能力試験のN2レベル以上を課しているところも多いですが、それ以上に日本語会話がビジネスレベルでできるか否かが重要です。
企業内で日本語レッスンを受けられるところもありますが、彼らの多くはオンラインで日本語レッスンを受けている者が多い印象です。
日本語教師として、ビジネスマン向けに日本語を指導したいのであれば、オンラインに特化した日本語教師のサイトで求人を探すことをおすすめします。
ビジネスマンは日本語会話レッスンを希望する方がとても多いです
外国人児童や生徒に指導したいなら?
日本で生活している外国人児童や生徒もいます。
彼らは、親が日本で働くことになり、一家揃って日本で暮らしているケースがほとんどです。
日本の学校は、インターナショナルスクールや特定の私立の学校を除き、その多くが日本語で授業を行います。
日本語で授業が行われるため、学年相応の日本語を理解できなければ、授業に支障をきたします。
彼らのサポートとして、取り出し授業という、クラスの生徒とは別の教室で日本語を指導するやり方があり、実際に取りだし授業を行っている公立学校も全国にあります。
子どもたちに指導したいのであれば、各自治体の教育委員会に問い合わせたり、あるいは、オンラインで児童や生徒などの子を持つ親御さんとコンタクトをとりレッスンをする方法が有効です。
学校外で日本語指導を希望されている親御さんは多くいます
日本語教師に応募する際は資格提示とICTスキルが必須
信頼される日本語教師になるために、まずは下記のいずれかを取得することをおすすめします。
- 日本語教師養成講座修了(420時間以上)
- 日本語教育能力検定試験合格
- 大学にて日本語教育専攻または副専攻
国内・海外問わず、これらを応募条件として課している学校がほとんどです。
大学で日本語を指導したいと考えている方は、大学院に進み修士課程を修めましょう。そうすることで出願条件をクリアできます。
上記とは別に、地域の交流センターで日本語ボランティアがありますが、これは公的な資格ではなく、あくまでその地域で教えることに特化した資格です。日本語教師として広く指導したいと考えるのであれば、やはり3つの資格のいずれかを取得したほうがよいです。
加えて、以下のような条件を応募時に提示してくる学校もあります。
- 日本語教師経験年数
- オンラインレッスン指導経験
- ICTツールが使用できる
日本語教師経験年数は教務主任応募時に問われることが多く、教務主任は常勤講師経験年数が3年以上~5年以上を目安としている学校が多いです。
また、このほかにもオンラインレッスンの指導経験やPC機器操作、Zoom、Skype、SlackなどのICTツールが使用できるか否かを問われることもあります。
日本語教師応募時は取得資格とICTツール対応可を提示すれば鬼に金棒です!
日本語教師の「国家資格化」はどうなる?
2022年12月13日に第7回「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議」が開かれ、大きな話題となりました。
素案の段階ではありますが、日本語教員の国家資格化の推奨を掲げています。
登録日本語教員が本格的に始動することになるかどうかは少し先の話ではありますが、日頃から日本語教育関連のニュースに耳を傾けておくことも大切です。
今後の動向に注目していきましょう。
本記事のまとめ
いかがでしたか。
本記事では、下記について解説してきました。
- 日本語教師の需要(指導対象者別に)
- 日本語教師に応募する際に必要な資格
- 日本語教師はICTスキルも必要
また、登録日本語教員が本格的に始動するかどうか、こちらのニュースも目が離せません。
信頼される日本語教師になるために引き続き授業研鑽に励んでいきましょう。
日本語教師として、みなさんの益々のご活躍を心より応援しております。